モイオットチャン・ストーリー 第一話 ミライの場合

更新日:1月20日


ヤバイ、ホームパーティーの準備ができていない。

こんな日に限って残業だし、雨だし、携帯の充電が切れそうだし、頭の中は「ヤバイ」がリフレインしている。「ヒノノニトン」のCMばりに。……とも言ってはいられないので、保育園に娘を迎えに行き、頭をフル回転させて今夜の「女子会」プランを考える。


月一の持ち回りで行っている「女子会」も最近はマンネリぎみ、楽しくないわけではないんだけど、ちょっとプレッシャーに感じ始めているのも事実。私はお洒落なフミや、セレブなキョーコみたいに凝った料理が作れるわけではないし、時間もない。余裕があれば私だって! とは思うんだけど……。いや、これが元来の私の性格なんだろう。きっと。


今夜もアイデアで一点突破だ! と腹を決めて、パン屋でバゲットを2本買って、ファミリーマートで鯖缶を購入。フミとキョーコに「お酒だけ買ってきてー(もし余裕あったらツマミも…)」とLINEを送る。


自宅に到着。猛スピードで娘を風呂に入れ、着替えさせる。私は大根と人参をスライサーを使って一心不乱に千切りを作り、それらをボウルに移して、ナンプラーとモイオットチャンを適量加えて「ベトナムなます」を作る。豆苗があったからそれもイン! 混ぜて、混ぜて、はいオッケー! これを作っておけばもう安心。娘におやつのぶどうを食べさせて、テーブルの上を片付ける。


バゲットを適当にカットして、ベトナムなますを深いお皿に盛りつける。パクチーを水洗いして、アジアンチックな小皿に入れる。もっと彩りがあってもよかったかな……? とも思ったけど、いーや、気心の知れた女子会なんだから、と思うことにする。素敵女子の二人が「何か買ってきてくれるでしょ……」と期待もしている。



鯖缶を「パカ」と開けたところで、インターフォンが鳴る。

「お疲れー」フミがやってきて、「これ」と言って総菜が入った袋を私に手渡す。「ビオラルで買ってきたよ」中身は「ローストビーフ」と「アボカドのサラダ」さすが、期待通り! ありがとう!

すぐにキョーコもやってくる。「ワインとチーズ買ってきたよー」素敵な女子たちは今夜も頼もしい……!


三人が揃うと部屋が一気ににぎやかになる。会が始まるまでは、「仕事がー」「子どもがー」と、億劫に感じてしまうんだけど、集まってみれば「ノリ」は、学生の頃と変わらない。戸惑っていた娘もいつのまにか嬉しそうだ。

用意していたものをテーブルに並べて「女子会」スタート。ちょっとした買い物と、ありものと、持ち寄りで、それなりにパーティーらしくなっている。

バゲッドにそれぞれ好きな具材をトッピングして、モイオットチャンをかける。自分なりのバインミーを作って、ワインを楽しむ。キョーコのワインのウンチクを拝聴し、フミの恋愛話で盛り上がる。娘はパンとくだものをムシャムシャ食べて、女子会の仲間入り。


「ねえ、このソースってなんなの?」

 モイオットチャンのラベルを手に取ってフミが私に訊ねる。

「吉祥寺の朝市で買ったんだよね。辛いけど美味しいでしょ?」

「うん、なんか後引く感じ」

「ねー、けっこういい感じかも」

「ガパオやパッタイも簡単にできちゃうんだよ」

 私は得意気だ。話はそれからエスニック料理の話になり、もう一度フミの恋愛話を経由して、現在の話になった。アラサーからアラフォーへの移行期にありがちな、ちょっとシリアスな話題になりそうなところで、娘が「モイ! オット! チャン!」と元気よく宣言した。二人は笑った。私も笑った。娘だけが目をキョトンとさせている。

来月の女子会にはこの「モイオットチャン」を持っていこう。そんなことを考えながら、私は絶対に覚えられないフランス産のワインを自分のグラスに注いだ。



バインミー レシピ

【材料】(一人分)

ベトナムナマス

 人参(1/3本)…………50g

 大根……………………50g

★モイオットチャン……大さじ1

★ナンプラー……………大さじ1

おすすめ具材

 ★サバ缶………………80g

 赤タマネギ……………1/4個

 パクチー………………お好みで

 お好みのパン…………1個


おすすめ具材

★サラダチキン

★生ハム

★スモークサーモン

★ローストビーフ

★レバーパテ


【作り方】

①千切りにした人参と大根にモイオットチャンとナンプラーを

 入れて揉み込みベトナムナマスを作る


②友人たちが持ってくるであろう差し入れを具材として使うため期待して待つ


③お好きなパンに切り込みを入れ、ナマス、お好みの具材を挟む


友人の女子力が試される気楽なパーティーレシピ


ビールやスッキリした白ワインを合わせるのが吉




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